スーパーで買う弁当のフタ

スーパーで買う弁当のフタには、開かないようにシールが貼られています。
最近のは赤いシールで、横に小さな文字で
“OPEN”
と書かれています。
つまり
“このシールはどこからでも切って弁当を開けることが出来ますよ”
とデザインされたシールなのです。
だから、ワタシはシールを横から引き裂こうと試みました。
予定では、切れ目の入った一口醤油入れのようにスムーズに裂けるはずでした。
そのようにシール会社も期待していたに違いありません。
たぶん、シール会社が弁当会社にプレゼンした時は、
「弊社のシールを使えば、弁当を開ける時のストレスが無くなり、より美味しいお昼を過ごす事が出来ます!そして世の中からストレスが減り、少しだけ豊かになるのです!ハッキリ言ってこのどこからでも切れるシールを使わない奴はバカですっ!」
と言ったはず。
だから弁当会社はこれを採用し、他社よりもストレスレスな弁当として差別化を図ったに違いありません。
弁当は薄利な商売ですが、人々の喜ぶ顔が見たいという社是のもと、シールを信じて採用したのです。
ワタシもそんな善人達の想いを組んで、期待とワクワクを胸にシールに挑んだのです。
シールは裂けませんでした。
そんなはずはありません。
弁当会社の社運がかかっているのです。
僕のやり方に問題があったのです。
もう一度挑みました。
千切れません。
何度やってもダメでした。
僕はお腹が空いているのです。
強引に引き裂こうとしました。
シールは思いのほか力強く張り付いていて、伸びるだけで裂けません。
伸びた分細くなり、部分的には耐久性が増したようにも感じます。
だからワタシはさらに力を入れたのです。
すると予想していなかった事態が起きました。
弁当箱が裂けたのです。
きっと見るに見かねた弁当会社の社長が「申し訳ありません」とばかりに、我が身を割いてお食事を届けようとしたのでしょう。
でも、弁当が裂けた事によって、もはやレイアウトはグチャグチャになりました。
もう食べたかったあの頃の弁当とは違います。
このやりきれないストレスをどこに向ければいいのでしょうか。
いったい誰が悪いのでしょう。
チカラを込めたワタシが悪かったのでしょうか。
身を犠牲にした弁当会社社長が良くなかったのでしょうか。
それともシールを採用した担当に責任が?
ストレスを無くそうとシールを開発した人が悪いのでしょうか。
結果としてストレスは増えました。
もう輪ゴムにしてほしい。シールは人間との相性が良くない。そう思った僕なのでした。