満員電車の中にいた。
座席は一席空いていたが、座る人はいない。
いや、正確には二席というべきだろうか。そこは連結部分近くの優先席
で、三人掛けなのだけども、おじさんが一人占領しているのだ。
窮屈な満員電車なのに、誰もそこに座らない。僕は少し離れた場所にいた
が、お金を貰わない限り、近づきたくもない。
誰も座らないのは、そこが優先席だという理由もあるが、それは決め手で
はない。
その三人用の優先席に座っているのは、明らかにアル中で酒臭いオジーな
のである。
それだけなら我慢して座る事も考えられるが、オジーは小便くさいのだ。
漏らしているのである。
今さっき漏らしのか、さっきから漏らしているのかわからない。
何しろ僕は、先程乗車したばかりなのだ。
少し離れているにも関わらず、小便臭い。
ツイッターなら、リアルタイムに
誰かと痛み分けしたい事件なのだけれども、パケット代をけちる僕には出
来ない。
こうして打ち文字打ちしても記事になるのは数十分後だ。
満員電車なのに、誰とも話題を共有出来ない孤独を感じる。
そのうちにオジーが目覚めて一言、
「誰も俺の隣りに座らない」
あぁ、なんという事だろうか。
オジーは、自分が漏らした事に気づいていないばかりでなく、アル中で世
間から疎ましく思われている事もしらないのだ。
惨めな人生だ。
彼にも少年時代があったはずだ。
どこでどう間違えたか知らないが、重い一言だ。
聞いていて辛い。
でもね。
真人間でも小便漏らされたら終わりですよ。
金も平等だが、小便も平等だなぁー