いま、僕に必要な力は無視だ。
無視できるようにしないといけない。
最初の出来事は、ケータイだ。
僕は高校のときに学校で誰よりも早くPHSを持った。
「電話を持ち歩くなんてバカじゃないか」
と言われ、事実誰からも電話はかかってこなかった。
しばらくの間は。
そのうちどこにいても鳴るようになった。
急ぎの用事でなくても、いつだって相手と繋がる事ができるようになった。
重要な用事とそうでもない用事の境目がよく分からなくなってしまった。
次に出たのはインターネットだ。
インターネットによって、世界中を飛びまわる事が出来るようになった。
ある意味これは、どこでもドアなのだ。
情報の垣根が無くなってしまったので、自分に必要な情報と必要でない情報の垣根も無くなってしまった。
いったい僕は、何がしたいというか。
重要でない用事と必要でない情報で、楽しいかどうかも分からない日々を過ごしている。
楽しいというのは、唯一人生にとって価値のある感情だ。
楽しい事を追求するためには、余計なものからのささやきを無視しなくてはいけない。
これはなかなか出来る事ではない。
余計なものを判断するスキルと、それを振り切る勇気が必要。
この感覚をどんどん研ぎ澄ましていく事が毎日の鍛錬だ。
まず僕はテレビを無視しようとしている。

















